※本記事はnoteの転載です。
直近当社よりCX(選考体験:Candidate Experience)について発信させて頂きました。
本noteでは、「カジュアル面談」について話します。
カジュアル面談は、CXにおけるIX(面談/面接体験:Interview Experience)に位置します。
突然ですが、採用においてカジュアル面談は誤解されているかもしれません。
◇求職者はこんな体験をしています
👩🦰「気楽にお話したいとスカウトメールに書いてあったのに、がっつり面接だった」
🕵️♂️「カジュアル面談に行った後日、お見送りと書かれたメールが届いた」
👱♀️「カジュアル面談で志望動機を聞かれた」
👨💼「帰りがけに、選考結果は後日連絡します、と言われた」
先日も記載しましたが、ネガティブ体験はCGMやSNSで不特定多数に広がる可能性があり、その求職者のみならず中長期的に潜在層への影響も含めて、自社のブランディングに良い影響を与えません。
「とはいっても、ではカジュアル面談って実際なんなの?どうしたらいいの?」
という声が聞こえてきます。
そこで、採用に関わる方に向け①〜④をお話したいと思います。
※(大全と書いておきながら残念ですが)肝心の④の部分は全て公開ができず、一部公開のみとなります。ぜひ口頭など別の機会にて…
目次
◆① カジュアル面談はなぜ生まれたのか、背景を知る
①-a 市況の変化
①-b DR(Direct Recruiting)など攻めの手法の一般化
◆② 選考プロセスにおけるカジュアル面談の位置付けを理解する◆③ 現場で起きている課題を知る
③-a 課題を知る
③-b カジュアル面談の難易度は実は高い?!
③-c 弊害を知る
◆④ カジュアル面談の効果的な方法を知る(準備〜当日〜後日)
④-a カジュアル面談|準備
④-b カジュアル面談|冒頭
④-c カジュアル面談|中盤
④-d カジュアル面談|終わり方
④-e カジュアル面談|後日
◆① カジュアル面談はなぜ生まれたのか、背景を知る
カジュアル面談という言葉が生まれる以前から、特に新卒採用を中心に、説明会やセミナーといった"選考要素のない"、会社説明やアトラクトを目的とした選考ステップはありました。
ベンチャーから中小企業を中心に、中途採用でここまでカジュアル面談というステップが一般化したのはなぜでしょうか?
まず2つの背景を理解しましょう。
①-a 市況の変化
(このnoteを読まれている採用関係者の方には釈迦に説法かと思いますので詳細割愛しますが)リーマンショック後の市況回復にともない、特に2013年前後以降、求人倍率は継続して維持or上り調子が続いています。
厚労省が発表する求人倍率以上に現場感では、エンジニアなど職種によっては熾烈な競争環境の中で採用を行っているのが現実です。
また、中長期的な話としては、労働生産人口、つまり働き手ど真ん中の年齢層人口の減少もあります。さらに長期的には(景気影響を踏まえない前提ですが)、新卒者が減少していくと、新卒のみならず20代若手採用は競争が激しい状態が続くでしょう。
①-b DR(Direct Recruiting)など攻めの手法の一般化
2010年代に続々とDRサービスが登場し、受け身から攻めの採用手法への転換を助けました。
また、同時に、実名SNSの一般化もじわじわと効いています。
かつて日本ではアメリカと比べ、TwitterのようなSNSを実名で行うことの障壁があり、人事が優秀な個人にネット上でアプローチすることが難しかったのです。しかし実名SNSが一般化するにつれてそれが可能になってきました。
ちなみに広義のDRにはリファラル採用も含まれ、2010年代は日本でリファラル採用が一般化した年代でもありますね。
このように、「市況の変化」や「DR(ダイレクトスカウト/SNS/リファラル)など攻め採用手法の一般化」により、採用のプロセスの中で自然発生的に生まれたのが、今の形の「カジュアル面談」です。
◆② 選考プロセスにおけるカジュアル面談の位置付けを理解する
ここで、あらためて「カジュアル面談」の位置付けを考えてみます。
カジュアル面談が実は選考プロセスにおける超重要タッチポイントであることがお分かりいただけるでしょうか。
マーケティングでいう、購入されるかどうか(応募意思を獲得できるかどうか)のタッチポイントです。
◆③ 現場で起きている課題を知る
③-a 課題を知る
カジュアル面談の背景や求職者認識がわかってきたところで、採用の現場で起きている課題について考えてみます。
👨}カジュアル面談が何なのかはわかってきたけど、なぜカジュアル面談は誤解されているのだろう…
◇カジュアル面談が誤解されている原因
1)単純にカジュアル面談が一般化した背景を知らない(ぜひ本noteの周知を…)
- カジュアル面談についてよく知らないが、選考プロセスとしてとりあえずやっているパターン(これが面接との誤認識を生んでいます)
- 採用市場の背景を知らない。また、異なる市況感を経験していないことで、若い人事の方に多い課題傾向
2)市況感がアップデートされていない
- 30代後半以降の人事や現場の方で多い課題傾向
- 買い手市場の感覚が残っており、今の売り手市場の感覚の理解が追いついていない場合がある
- 求職者の応募意思ありきで「選考」からスタートするプロセスに慣れており、「選考プロセスの中で応募意思を獲得する」という概念が乏しいパターン
おおよそ、上記いずれかの原因により、冒頭挙げたような「面接をしてしまう」・「スカウトメールの前提と異なる対応をしてしまう」といったことが起きているように思います。
③-b カジュアル面談の難易度は実は高い?!
ちなみに、「カジュアル面談が選考プロセスにおける超重要タッチポイント」であることと同じく見過ごせないのが、「実はカジュアル面談の難易度は高い」ということです。
◇カジュアル面談の難易度が実は高い理由
- 前述の通り、応募意思を頂けるかどうかの分岐点であること
- 優秀な方ほど転職意欲は顕在化していない傾向があり、魅力づけと同時に転職意欲の動機付けも求められること
- 数が絞られてくる面接と異なり、カジュアル面談は実施数が多く、効率的にかつ効果的に行う必要があること
③-c 弊害を知る
カジュアル面談のやり方によってどのような弊害があるのか考えてみると4つあります。
◇カジュアル面談を誤ることの弊害
1)選考の煩雑化
(いわずもがなですね。求職者にとっても自社にとっても本意でない、謎のステップを増やして煩雑化させることになってしまいます)
2)採用対象である求職者の心象/意向ダウン
CX(Candidate Experience)へ悪影響し、入社承諾率低下の要因となる
※IBM Smarter Workforce Instituteの調査結果では、「選考プロセスに満足した候補者の54%が採用オファーを承諾している」・「満足していない候補者が採用オファーを承諾したのは39%」
3)タレントプールが上手くできない
先の通り、優秀な求職者ほど転職意欲は顕在化していない傾向があり、転職の必要性が低い方も多い。今ご縁がなくても、将来のタイミングで自社を選択肢に入れてもらえるか、においてカジュアル面談は重要な接点
(カジュアル面談の対応によって、数ヶ月後に求職者から連絡があり採用に至る事例も多々!)
4)会社のブランディング、イメージ低下
前述の通り、SNSなどで情報の透明化が進む中では特に、ネガティブ印象は不特定多数の範囲で広まると考えたほうが良い
◆④ カジュアル面談の効果的な方法を知る(準備〜当日〜後日)
肝心のカジュアル面談の手法について、残念ながら全部公開ができず一部公開します。
(機会があれば口頭でお話しさせていただきます。またはぜひお気軽にお問い合わせください)
④-a カジュアル面談|準備
ポイントは3つあります。
1つ目、意外と重要です!
そもそもカジュアル面談を求職者が希望しているか、を確認します。
Wantedlyのエントリーや、スカウト返信からの面談日程調整メールに記載することをお勧めします。
求職者がカジュアル面談希望していないことも多くあり、併願先があるなど急いでいる場合や、選考回数が増えることを望まない場合などです。
例:「今回まず面談の調整をさせていただいておりますが、面接希望であれば面接いたします。ご希望であれば仰ってください。」
2つ目も重要です。誰がカジュアル面談をするか、です。
(エンジニア)
- エンジニアはエンジニア/CTOが面談すること
- 技術の話ができる人が必ず担当すること
- エンジニアのカジュアル面談で、エンジニアが対応せず人事による会社説明だけで終わる場合、面接への移行率は下がると思ってよい
(もちろん人事のバックグラウンド/スキルによる)
※デザイナーもこのエンジニア寄りの考え方でOK
(エンジニア以外のビジネス職/コーポレート職)
- 人事の対応も良いが、会社の全体感からその職種の話をつなげ、さらに現場感や業務イメージをしっかり説明できる必要がある
- エンジニアほどではないが、人事による会社説明程度では不十分であり、選考離脱の要因になるため注意
- できるだけ一緒に働くことになるMGRやそれに近しい人の対応が望ましい
(CxO)
- 会社フェーズ問わず、CEOや経営ボードが面談を行う
- CxO採用となると、人事メンバーの対応では不十分となりやすい
(もちろん人事のバックグラウンド/スキルによる)
(他)
- アーリーフェーズであるほど、CEO(または近しい経営ボード)自らが面談を対応すること
- 特にアーリーフェーズにおいては、まだ市場認知が乏しいことが多く、ビジョンや熱意、また経営者自身のビジネス展望によりいかに魅力づけするかが重要
3つ目は、実際に求職者あわせた魅力づけをするために、求職者について想像しておき、それにあわせた情報を準備することです。
求職者について想像する時は、「転職理由/希望」・「志向性」を考えてみましょう。
◇転職理由/希望・・・どんな転職理由/希望だろう?
ex. ●●社に在籍ということは、最近あのニュースがあったからかな…
ex. 現職でWebエンジニア経験4年と長いけど、ポジションが変わっていないようだ。ポストが詰まっているのかな…
ex. 社内システム開発が長いけど、サービス開発がやりたいのかもしれないな…
ex.○○才という年齢に対して年収が低めだ。ライフイベントが起こりやすい年齢だから、年収の希望があるのかも…
◇志向性・・・どんな志向性なんだろう?
ex.過去に大手からベンチャーに転職している。そこで年々役割が広がっていて活躍しているようだ。組織の柔軟さや裁量を求める人かもしれない…
ex.新卒で一部上場大手に入社して、これまでベンチャー経験がない。
評価体制など組織の体制の質問があるかもしれない…
ex.(プロフィールなどから)●●に興味があると書いてある…
ex.(プロフィールなどから)マネジメントにチャレンジしたいと書いてある…
ある程度想像した内容はどこかに(ATSでもいいですね)メモしておきましょう。
そして、それにあわせた情報を用意します。
◇用意する情報
- 採用ピッチなどプレゼン資料/(差し支えない範囲で)投資家向けのピッチ資料もあると○
ここから、どの部分を特に話すか?をイメージしておくとGood
- 一緒に働く上司や同僚のバックグラウンドなど情報
- 魅力づけになる情報(直近の会社の動向やサービスの展望、予定)
- 業務内容/現場感を伝えられる情報を!(特に人事がカジュアル面談をする場合)
④-b カジュアル面談|冒頭
カジュアル面談冒頭で必ず行ってほしいのは、「求職者の来社目的の確認」・「転職意欲/活動状況確認」の2つです。
※恋愛でいうと、気になる人との出会いで、相手のニーズ(ただ遊びにきただけなのかそうでないのか)や状況(ライバルがいるのかそうでないのか)は冒頭で確認したいですよね。これがわからないと、どんな情報を伝えれば良いかもわからず、戦略をたてられません!
◇求職者の来社目的は?
ex.もう、転職を具体的にお考えなんでしょうか?それとも情報収集をされたいという感じですか?
ex.現職のご状況を存じ上げない中恐縮ですが、転職をご検討でいらっしゃるんですか?
ex.こうしてお越しいただけるということは、少なからず転職にご興味をお持ちだと思うのですが、今どのような状況でしょうか?
※ただ「転職活動してますか?」のyes noクエスチョンだと、いいえ、で会話が終わってしまいそれ以上聞けない可能性が高い。
求職者は最初警戒心があり無理に口説かれることを懸念している場合もあるため、転職活動をしていても、していない、と答えることも。
※ここで、自社への興味が一定あるようであれば「今回ご希望であれば、選考もさせていただくこともできます。面接も希望しますか?」を提案するのもGood
◇求職者の現職/転職活動状況は?
把握するべきことは、活動スケジュール/活動意欲/ライバル。
ex. 選考フェーズを合わせたり協力させていただきたいのですが、具体的に面接、特に最終面接などに進んでいる会社はありますか?
ex. 差し支え無い範囲で構いませんが、何社か面談しているとか、これからとか、どんな感じですか?
ex. 何月までに転職したい、とかありますか?
求職者の目的や状況が聞けたら、頭の中で瞬時にこういったことを判断できるといいです。
- どのような情報を伝えようか?
- この面談のタイムスケジュールは?
- 面談終わり方は?
ここまでで5~長くて10分です。
④-c カジュアル面談|中盤
ここでは、魅力づけできる会社説明の入り方という観点で、一部だけ公開します。
(1)準備で立てた仮説(想像)を確かめながら・・・
ex.○○なご希望のある方なのかなと想像していたんですが…
ex.ずっとtoBのご経験のようですが、toCにも興味をお持ちなんですか?
ex. 1社目は○○社なんですね!結構大手から転職されたんですね!当社はベンチャーなんですが…
※仮説はあくまでも仮説。でも、話のとっかかりになったり、求職者への興味を示すため重要!
(2)(上記の会話の流れにもよるが)準備した情報をもとに、求職者に合わせた会社/業務説明を行う
ex. プロダクトそのものや事業に興味がある方には、その話を。
ex. 理念ビジョンや経営者にひかれる方には、その話を。
ex. 一緒に働く人や文化が気になる方には、その話を。
ex. キャリアアップが転職理由の方や、キャリアパスや自己の成長性を大事にしたい方には、その話を。
④-d カジュアル面談|終わり方
求職者観点でも、採用の業務効率観点でも、面談の終わり方はとても大事です!
◇自社に合いそう!と思ったらその場で応募意思を頂けるようお話を
ex.ぜひ正式な選考に進んで欲しいと思いました!いかがでしょうか?
ex.ぜひ、面接で責任者の○○とお会いいただきたいのですが、ご意向いかがでしょうか?
※できればその場で日程調整までできるとBest
※求職者によっては、ここに面談の時間の4分の1やそれ以上を使うべき
◇すぐの転職意欲はないものの長期的にアプローチしたい人には、タレントプールへの導線を
ex. ご転職がすぐにはお考えでないこと、承知しました!ぜひ、現職のタイミングによって、またいつでもご連絡ください!
ex. ご転職がすぐにはお考えでないこと、承知しました!よろしければ○月ごろこちらからも連絡してよろしいでしょうか?
※長期的な関係を前提として話を終えること!
④-e カジュアル面談|後日
カジュアル面談後、次の選考プロセスに繋げることが重要です!
◇自社に合いそう!と思い面談時に選考お誘いをした方へ、日程調整を迅速に進めること
- 面談内で応募意思がもらえた&日程ももらえた→調整
- 面談内で応募意思がもらえた&日程はもらえてない→日程確認・調整
- 面談内で応募意思がもらえなかった→簡単にでも1to1で求職者へのメッセージを記載し、ぜひ面接に進んで欲しいというメッセージを送る
◇タレントプールの導線をしいた人へは、ネクストアクション/タイミングを明確にしておこう
- (できれば簡単にでも1to1で求職者へのメッセージを記載し)「いつでもまた連絡がほしい」という旨を送る
- ATSやスプレッドシート等に次回アプローチ予定を記録しておく
- 連絡する日付をカレンダーなどにリマインド登録しておく(期の変わり目の前などがGood)
ここまでお読み頂き、誠にありがとうございました!
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