「山根さん、やっと人事を採用することができたんですよ」
あるベンチャー企業の社長様が、嬉しそうにお電話をくださいました。僕が採用支援をさせて頂いていた企業様は、社員数が30名程度。今期の採用人数は20名を見込んでおり、このタイミングで人事専任の方を採用したいと目論んでいました。そして、1名の方を採用することができたんです。
1人目の人事を採用することができた。一見順調そうに見える出来事ですが、期待とは逆効果になってしまうことも多々あります。
人事が入社することには、メリットとデメリットがあるのです。それを記載してみます。まずはメリットからです。
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◇メリット
(1)採用業務を人事に振ることができる
Wantedlyの記事投稿、書類選考から面接日時調整、エージェントとのやり取りなど、採用業務の中のルーティン業務を振ることができます。
(2)採用ノウハウが自社に溜まる
採用経験がない社長はノウハウがないため、ノウハウをキャッチアップしながら進めていく必要がありました。採用経験がある方がジョインすれば、それまで蓄えてきた採用ノウハウがあるため、自社の採用もスケールすることが期待できます。
(3)スピードが上がる
専任担当ですので、採用業務スピードは上がります。
クイックレスポンスをすることにより、求職者様のイメージも良くなりますね。
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メリットはこれ以外にもありますよね。
人事を採用できた!とホッとする社長様も多いのではないでしょうか。
ただ、人事が入社することによって逆効果も考えられます。ご注意を。
デメリットを記載します。
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◇デメリット
(1)判断スピードが落ちた
エンジニア、デザイナー、経営企画など人事担当が書類選考ジャッジが難しい職種は、人事担当はジャッジができません。各担当に書類選考を回して結果を待ちます。
今まで社長様が数時間でジャッジしていた書類選考を、人事⇒各職種担当⇒人事⇒求職者へご連絡と、時間がかかってしまうのです。この時間が1週間とか経過してしまうこともあります。
(2)既存のノウハウに固執してしまう
人材業界出身、もしくは別企業で採用担当をされていた方は、「今まで経験してきた採用手法」で採用活動を進める傾向にあります。ただ、業界や企業規模によってマッチする手法は異なりますし、ここ最近はトレンドの採用手法が1年ごとに変わります。エージェント⇒Wantedly⇒リファラル採用のように。
今までの採用手法に固執してしまった結果、採用活動がスケールしなくなってしまう事例も多々あります。
(3)各担当とコミュニケーションが取れなくなった
社長からすると目に見えない問題かもしれません。ただ表面化しないだけで、色々な企業様で問題になっていることが多々あります。
例えば、
・A社では採用担当とCTOがうまくコミュニケーションが取れておらず、内定は出ますが辞退になってしまっている。
・B社では採用担当と営業畑の執行役員のウマが合わず、執行役員主導で採用活動を進めてしまい、収集がつかない。
・採用担当が社長をマネジメントしきれずに、採用計画がわからなくなってしまい、エージェントに誤報が伝わってしまう。
などです。
「いやいや、うちの会社はそれは無いだろう」と思っている社長様も多いかと思いますが、問題点が表面化していないだけで、実はうまくいっていないケースを僕は何十件も見てきています。
また、上記(1)に似ている話で言うと、「業務スピード」もネックになることが多いです。
社長⇒採用担当に「あれ、やっておいて」と言ったことに対して、採用担当が覚えてはいるものの取り組んでいない、というケースもよく見受けられます。採用業務はどうしても受け身になってしまう業務が多いため、攻めの姿勢で主体的に取り組めている採用担当の方って意外と少ないものです。
「人事を採用できて良かった!」
とホッとする前に、きちんと人事もマネジメントすることをオススメします。「問題点が表面化することは無いと」割り切ってマネジメントをしていただいたほうがうまくいくことは多いでしょう。
採用業務は専門職です。専門的なスキルを持った方が入社した際に、全てお任せしようと信頼することは素晴らしいのですが、1年経過して、全く人材を採用できなかった、という結果が出てしまう企業様もあります。
今回は少々ネガティブな話になってしまいましたが、自社に人事担当がいる企業様ほど、上記のデメリットが自社で発生しているかどうか、確認してみると良いでしょう。
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